津軽三味線で奏でる応援歌 えいえい!えいさー!
「えいえい!えいさー!」とは、心と力を合わせて引き合う宮崎の綱引きの掛け声。
その掛け声をイメージし、宮崎の地で奏でる津軽三味線の軽快なリズムに乗せて、子ども達にも大人にも、あの日の掛け声を一歩踏み出す力にして欲しいとの願いを込め、子どもの頃の思い出が蘇る元気の出る応援歌に仕上げました。
えいえい!えいさー!
唄/村上由宇月 三味線/村上由宇月
作詞/村上由哲&二年三組 作曲・編曲/金井雅信
1.明日を信じて 一歩踏み出そう
小さな勇気は いつか輝くよ
転んで見つかる宝物 扉をあけて
ここから飛び出そう
出あうことから始まる
えいえい えいさー みんなの
えいえい えいさー 力が
えいえい えいさー 集まる
今 この時
2.あの日の自分を 超えて行きたい
小さな努力が 大きなパワーに
探し続ける宝物 希望を胸に
夢の花咲かせる
たった一度の人生
えいえい えいさー みんなの
えいえい えいさー 力が
えいえい えいさー 集まる
今 この時
振り向けば ふるさとの友
ふるさとの空
瞳 閉じて感じる
愛と勇気と希望を
えいえい えいさー みんなの
えいえい えいさー 力が
えいえい えいさー 集まる
今 この時
えいえい えいさー みんなの
えいえい えいさー 力が
えいえい えいさー 集まる
今 この時
えいえい!えいさー! 解説 【宮崎公立大学 教授(2020年現在)永松 敦様】
宮崎県では、運動会などで綱引きをする際に、エイエイエイサーと元気よく掛け声をかける。全国的にみると、この掛け声は極めて珍しい。ほとんどの地域では、オーエスが主流だからだ。オーエスは、フランス語のOh hisse からくるといわれている。船の出航の際に、帆を巻き上げる(英語ではhoistホイスト)の意味で、フランス語はHを発音しないので、オーエスと日本人には聞こえたとか。では、なぜ、綱引きの掛け声にフランス語が使用されたかというと、1900年 第2回オリンピック・パリ大会で、綱引きが正式種目として採用されたからだ。ちなみに、綱引きは1920年の第6回のベルギーでのアントワープ大会まで続けられた。
日本でも運動会での綱引きの掛け声をオーエスとするところが多いが、なぜか、宮崎県だけは、エイエイエイサーという風変わりな掛け声が使われている。その理由はなぜか、と問われると、その答えを正確に導き出すのは難しいのだが、日本では綱引きをスポーツとしてではなく、年中行事として行われているところが多いのだ。特に、宮崎・鹿児島を含む南九州では、旧暦8月15日(9月半ば頃)、いわゆる十五夜の綱引きが今も行われている。このときの掛け声が、宮崎地方ではエイエイエイサーなのだ。十五夜の綱引きは、豊年祭の意味をもち、農作物、特に、イモ類の収穫への感謝の気持ちが込められている。鹿児島になると、綱引きで使った綱で土俵を作り、相撲をとるところも多い。
他の地域の綱引きを見ると、福岡、佐賀といった北部九州では、盆綱引きといって、8月の先祖供養をする盆行事に行われ、綱引きが終わると、ご先祖様が家からあの世に帰られると信じられているところが多い。さらに、日本海側の秋田県、福井県、さらには、⻑崎県五島列島などでは、旧暦1月15日の小正月に綱引きが行われる。同様に、同日、綱引きが行われるのが韓国南部でも見られ、この種の行事は東アジア全体に広がりを見せている。
掛け声も各地区、各国ごとに、さまざま。宮崎ではオリンピックの影響を受ける前から掛け声として発せられているエイエイエイサーが、今も元気に県⺠によって使われ続けているのだ。これからも大切にしたい日本の伝統文化だと言えよう。
永 松 敦 NAGAMATSU ATSUSHI
宮崎公立大学 教授(2020年現在)
専門分野/日本⺠俗学